神林東吾は江戸に戻る前に、息子と娘に横浜を案内してあげようと思った。翌日、浅間山に登ると横浜港が一望できた。遠くには英吉利(イギリス)からのセント・フランシス号が見える。 突然、源太郎が「やめなさい!」と花世を制止したが、花世はその男に飛びかかった。一人の外国人が首吊り自殺をしようとしていたのだ。そこに花世が飛び付くと、二人分の重みで枝が折れたのだ。 あわてて駆け寄りその男を見て驚いた。「君は・・・ジョン水兵じゃないか!」
「横浜慕情」 平岩弓枝著 文藝春秋
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